9月20日のきょう、ラグビー・ワールドカップ(W杯)が日本で開催された。
今回のW杯の参加国は世界20カ国で、そのうち“3か国半”がイギリスだ。
くり返しますよ、イギリスが“3か国半”。
「あ…ありのまま、いま起こった事を話すぜ! な…何を言ってるのか、わからねーと思うが」
イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4カ国からなるUK(連合王国)だ。
前の3つにくわえて、北アイルランドと南のアイルランド共和国との統一チームが参加するから、全部で“3か国半”になる。
「頭がどうにかなりそうだ…。」とかポルナレフみたいなことを言わないように。
ということでこのW杯には、たくさんのイギリス人の来日が予想される。
日本とイギリスでは文化も価値観もマナーも違うから、イギリスの常識を日本に当てはめてはいけない。
それでイギリス外務省が日本人コメディアンのコタニ・ユリコさんを起用したPR動画を作成して、日本で注意すべきことを伝えている。
前回の内容は「日本人と気安くハグすんな」ってこと。
くわしいことはこの記事を。
今回は2つ目の注意点、「日本では公の場で歌ったり踊ったりすんな!」ということについて書いていこうと思う。
日本ではスポーツ観戦でも、静かに礼儀正しく振舞うことが求められるから。
イギリス人はこんな感じらしい。
数年前、袋井市のエコパスタジアムへサッカーを見に行ったイギリス人から、そのときの感想を聞いてみた。
開口一番、「サッカーのレベルは低いね」と言う。
そりゃそうだ。
Jリーグのレベルは上がったとはいえ、世界最高峰のプレミアリーグとの比較はまだまだ無理。
でもそのイギリス人が印象的というか感動したのは、試合そのものより、スポーツ観戦が終わったあとの日本人の様子だった。
試合が負けたにもかかわらず、サポーター(ジュビロ磐田?)がスタジアムのゴミ拾いを始めた。
くわしい様子は聞いてないけど、サッカーW杯のときのように、落ちているゴミを拾って青いビニール袋の中に入れて歩いていたのだと思う。
そして日本人の観客は静かに列をつくって、スタジアムの出口から出て行った。
彼にとっては試合よりこれが驚きで、こうしたサポーターの“民度”ではイギリス人は日本人にかなわないと話す。
イギリスだったら試合後に興奮したサポーターが叫び声を上げたり、下手したら物を壊したりケンカが始まる。
日本人の場合は大声で応援していても、試合が終わるといっせいに別人になって、静かに秩序をたもって行動する。
こういう姿を見ると、「イギリスは紳士の国ですよね」と日本人から言われると彼はとまどってしまう。
このイギリス人が言った過激なサッカー・ファンか、さらに過激な人たちがいわいる「フーリガン」と呼ばれる人たちだ。
おもしろいことに、フーリガンの語源にはいくつか説があるけどすべてイギリス発だった。
「個人名」説
19世紀のロンドンで非道の限りを尽くしていたアイルランド系の一家の姓、フーリハン (Hoolihan) に由来している。
「流行歌引用」説
19世紀のイギリスで流行していた歌の中で揶揄される、アイルランド系住民の名がフーリガンであった。
「集団名称」説
19世紀後半にフーリガンボーイズと称するギャング集団が、イギリスで新聞記事となって広まった。
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サッカーファンだけではなくて、ラグビーファンも興奮したら同じようになるはずだ。
コタニ・ユリコさんが動画の中でラグビーの試合が終わったあと、イギリス人が電車の中で歌って叫んで踊っていたと話している。
個人的にはスタジアムの半径100m以内ならいいと思うけど、イギリス外務省としては「いいか?日本で騒ぐなよ。イギリスの評判を落とすよ」と言いたいところだろう。
スポーツ観戦であっても、静かで秩序正しい日本人の紳士っぷりを母国に持ち帰ってほしい。
ちなみに、この点で日本人は昔から変わっていない。
明治時代に来日したアメリカ人の動物学者モースが相撲観戦で観客の様子に感心している。
巡査がいないのにも係らず、見物人は完全に静かで秩序的である。上機嫌で丁寧である。悪臭や、ムッとするような香が全然しない……
「日本その日 (モース エドワード・シルヴェスター) 」
つまり、アメリカ人はこの逆だと。
相撲が終わって退場する様子もいまと変わらない。
そして演技が終って見物人が続々と出て来たのを見ると、押し合いへし合いするものもなければ、高声で喋舌る者もなく、またウイスキーを売る店に押しよせる者もない(こんな 店が無いからである)。
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